男性不妊の原因と治療

不妊症

男性不妊とは?

WHO(世界保健機構)では、不妊症の定義として、避妊をせずに
夫婦生活をしているにも関わらず、2年たっても妊娠に至れない状態としています。

不妊症というと、女性側に問題があると思われがちなのですが、
妊娠の仕組みは、男性の精子と女性の卵子が結びついて成立するものですから、
実際に妊娠するのは女性であっても、不妊の原因は男性にも女性にもあります。

近年、食生活や生活環境の変化、環境ホルモンの影響で、
男性不妊が増えているという報告もあります。

男性不妊の原因は精液に異常がある場合が多くを占めており、
しかし見た目では異常はなく、痛みなどの自覚症状がないケースが多いので、
発見が遅れがちのようです。

WHO(世界保健機構)の発表によれば、
精子の運動率も20年前と比べて、かなり低下しています。
つまり、元気な精子を作ることができない男性が増えているのです。

男性不妊は決して特別な出来事ではありません。
もしなかなか妊娠に至らないようでしたら、精液検査をしてみてください。
何も異常がなければそれでいいのですから。
もし何らかの異常がある場合、女性と同時進行で治療を進めたほうが、
確実に効率がよいのではないでしょうか。

男性の体のしくみ

精子は陰嚢の中の精巣内にある精細管という細い管の中で作られています。
精巣内には、精細管が1000本以上も詰まっており、
その1本1本に精子の元となる細胞が生まれて、
約74日間をかけて細胞分裂し精子を形成します。

精子は精巣上体という貯蔵タンクに貯蔵され、
精巣上体を通ることで、妊娠能力や運動性が高まり成熟し、
射精のときは、長い精路を通って尿道の出口から射精されます。
この精路は40センチほどあります。

この精子が作られるためには段階の変化が必要です。
精祖細胞→第一精母細胞→第二精母細胞→精子細胞→精子と変化していくのですが、
この過程が正確に行われるためには脳下垂体からのFSHホルモンの分泌が必要です。

このFSHがうまく分泌されないと、最悪の場合、無精子症となります。

こうして、精子を作る機能や、精子の通り道に問題が生じていると、
男性不妊となってしまうのです。

もし精子の問題があっても、普通に射精ができる場合、見た目でわかるものではなく、
痛みなどの自覚症状もないので、自分で気付くことはまずありません。

男性不妊の原因1位 乏精子症

乏精子症とは?

乏精子症とは、精液の中に精子はいるが、その精子の数が少ない状態で、
精子濃度(精子数)が1ml中に2000万以下の場合を言います。

精子の運動率や質などを総合的に見て、
自然妊娠するには、1ml中に4000万以上が望ましいとされています。

しかし精子の数が、少し下回るくらいなら、あまり気にしないことも大切です。
軽度の乏精子症の場合、人工授精によって妊娠も可能です。
漢方薬などを併用することもありますが、
少し下回るくらいなら、心配しすぎないでください。

しかし、精子濃度が1ml中に数百万以下になると、
人工授精では難しいと判断され、体外授精を勧められることもあります。

更に数が少ない場合は、妊娠率を上げるため、
顕微授精を勧められることもあります。

精子の運動率は、射精2時間以内の精液において、
50%以上が前進運動をしているのが望ましいです。

奇形率としては、正常精子が全体の30%未満になると、
奇形精子症と診断されます。

乏精子症の原因と治療

乏精子症の原因として、精索動脈瘤、造精機能障害の二つが考えられますが、
原因不明のことも少なくありません。

精索静脈瘤とは、精巣からの静脈の血液が滞り、静脈が異常肥大する病気で、
精子異常、精巣萎縮につながります。
精子をつくる環境は体温より少し低めが理想ですが、
精索静脈瘤があると陰嚢の温度が上昇され、造精機能に影響があります。

軽度であれば、漢方薬やビタミン剤を処方し、人工授精で妊娠を目指します。
それでも妊娠できない場合は、体外受精や顕微授精にステップアップします。

精索静脈瘤の根治治療には手術があります。
精索静脈瘤の手術は、腎静脈から内精索静脈へ静脈血が逆流してきている血管、
つまり精巣静脈を結紮する手術です。

造精機能障害とは、精巣でうまく精子を作ることができないというものです。

造精機能障害には先天的理由によるものと、後天的理由によるものの二つがあり、
先天的に精子がつくられない染色体異常の場合の治療法はなく、
また精子形成があっても治療は難しく、
妊娠を希望する場合は、体外受精・顕微授精に進みます。

染色体異常による造精機能障害の場合、
遺伝などの問題もありますので、医師とよく相談することが必要です。

ごくまれですが、停留精巣といって、本来であれば生まれる頃に
精巣が陰嚢の中に自然に下りてくるはずが、
生後数ヶ月経っても精巣がおりてこない状態をいい、
これが原因で精子を作る力が衰えてしまう場合があります。

後天的には、耳下腺炎などで精巣にウィルスが侵入し、
精巣炎を起こした場合や、精索静脈瘤などがあります。

軽度であれば、漢方薬やビタミン剤を処方し、人工授精で妊娠を目指します。
それでも妊娠できない場合は、体外受精や顕微授精にステップアップします。

男性不妊の原因2位 無精子症

無精子症とは?

無精子症は、一般男性では1%、男性不妊患者では10~15%に見られます。

無精子症とは、射精した精液中に1匹も精子が見当たらない状態をいいます。
染色体異常による無精子症なのか、そうでない無精子症なのかを判断します。

また、精子があっても通路がふさがっている場合と、
精子そのものが作られていない場合があります。

精巣で精子がほとんど作られていない場合でも、
1匹だけでも精子がいれば、顕微授精で妊娠は可能です。

または、完成した精子がいなくても、完成手前の精子があれば、
その精子で顕微授精をすることも可能です。

また、射精した精子が膀胱に入ってしまう逆行性射精の場合は、
膀胱内から精子を採取することができますので、人工授精が可能です。

しかし精巣に精子が1匹もいない場合は、
とても残念ですが、実子以外の道を探すことになります。

無精子症の原因と治療

無精子症の原因としては、造精機能障害、子供の頃の鼠径ヘルニア手術、
感染症による精巣上体炎、またはクラインフェルター症候群などの
遺伝的な病気の場合もあります。

造精機能障害とは、精巣でうまく精子を作ることができないというものです。

造精機能障害には先天的理由によるものと、後天的理由によるものの二つがあり、
先天的に精子がつくられない染色体異常の場合の治療法はなく、
また精子形成があっても治療は難しく、
妊娠を希望する場合は、体外受精・顕微授精に進みます。

染色体異常による造精機能障害の場合、
遺伝などの問題もありますので、医師とよく相談することが必要です。

ごくまれですが、停留精巣といって、本来であれば生まれる頃に
精巣が陰嚢の中に自然に下りてくるはずが、
生後数ヶ月経っても精巣がおりてこない状態をいい、
これが原因で造精機能障害を起こす場合もあります。

後天的には、耳下腺炎などで精巣にウィルスが侵入し、
精巣炎を起こした場合や、精索静脈瘤などがあります。

軽度であれば、漢方薬やビタミン剤を処方し、人工授精で妊娠を目指します。
それでも妊娠できない場合は、体外受精や顕微授精にステップアップします。

鼠径ヘルニア手術で、精管が誤って巻き込まれ、ふさがってしまう場合があります。
精巣で精子は作られているのですが、精子の通り道が詰まっていて、
精子が出てこれない状態です。

精巣上体炎は、精巣上体が最近に感染して炎症を起こすものです。
クラミジア感染症などの性感染症が原因となります。
感染によって精子の通り道がふさがってしまう場合もあります。

精巣上体炎を起こしていたら、抗生物質による薬物療法が有効です。
精巣上体炎によって精管がふさがっている場合は、精路をつなぐ精路再建術をするか、
精巣から精子を採取して顕微授精をするという方法もあります。

先天性精管欠損により、生まれつき精管がない場合は、
精巣から精子を採取して顕微授精をするという方法があります。

大人になってから、おたふく風邪にかかり、精巣が腫れたことにより
不妊になることがあります。これを精巣性無精子症といいます。

精巣性無精子症の患者さんには生まれつきに染色体に異常があることがあり、
よくみられるのは普通の男性よりX染色体が多いクラインフェルター症候群です。

男性不妊の原因3位 精子無力症

精子無力症とは?

精子無力症とは、前進する精子が50%未満、
または高速で直進する精子が25%未満の場合を言います。
精子の数は正常だが、精子の運動率が悪い状態です。

なんらかの理由で、精子を作る機能が低下していると考えられます。

精子は数も大切ですが、やはり個々の精子の性能も重要です。
たとえ精子の数が十分あっても、元気のない精子では、
受精の場である卵管采に到達する精子は減り、不妊の原因となります。

卵管采に到達したとしても、卵子の殻を破らなければならないので、
量だけではなく、運動率も大切になります。

精子無力症の場合、その精子の状態により、
人工授精や体外受精などの方法をとります。

精子無力症は、乏精子症と重なって起こるケースが多いのが特徴です。

これに対して、精子がまったく動いていない場合を、精子不動症といいます。

精子無力症の原因と治療

精子無力症の原因としては、原因が分からないものが多いのですが、
先天的な原因がほとんどですが、後天的な原因もあります。

後天的な原因としては、高い発熱や、おたふくかぜによる精巣の炎症、
男性の精液に白血球が混ざり精子の運動率を下げる膿精液症、
その膿精液症の原因となる前立腺炎、
精巣からの静脈の血液が滞り、静脈が異常肥大する精索静脈瘤などです。

精子無力症の治療はまず原因疾患の治療が先決です。
前立腺炎がある場合、膿精液症の治療のためノイキノロン系の抗生物質を服用します。

精液中に白血球が多く認められる場合(100万/ml以上)を膿精液症と呼び、
膿精液症があると精子の性能は極めて低くなることが多く、
体外受精でも受精しないこともあります。

精索静脈瘤がある場合、手術を試みます。
精索静脈瘤の手術は、腎静脈から内精索静脈へ静脈血が逆流してきている血管、
つまり精巣静脈を結紮する手術です。

あらゆる治療を試みても効果が乏しいと判断されたときは、
顕微受精が最も有力な治療となります。

男性不妊の原因4位 ED

ED(勃起障害)とは?

ED(勃起障害)とは、「勃起機能の低下」を意味します。
完全に勃起ができない状態と考えがちですが、勃起に時間がかかったり、
勃起しても途中で萎えてしまったりする人はEDの疑いがあります。

性交時に十分な勃起が得られない、または勃起が持続できないため、
満足な性交が行えない状態をEDであると定義されています。

男性は性的刺激によって陰茎海綿体の動脈が開いて血液が流れ込み、
海綿体は血液を吸い込んで貯め膨張して固くなります。これが勃起した状態です。

排卵日を予測してタイミング法で性行為をすることに、
男性はプレッシャーを感じがちです。

以前はインポテンツという言葉がありましたが、
侮蔑的な意味合いがあるため、現在ではEDという表現がより適切とされています。

男性側に原因のある不妊症のうち、約20%がEDが原因と報告されています。
不妊症であることがプレッシャーとなって心理的なストレスが増加し、
EDを悪化させてしまう可能性もあります。

EDが原因の不妊症は、精子自体の問題ではないので、
比較的解決しやすく、EDの治療をおこなう事で解決することも少なくありません。

ED(勃起障害)の原因と治療

歳を重ねるとEDになる割合は高くなりますが、
近年は、加齢だけが原因ではないことがわかっています。

知らず知らずのうちにストレスをためていたり、不規則な食生活、
運動不足や多量の飲酒、喫煙など毎日の生活パターンが原因となって
起こることが多いようです。

ストレス社会といわれる現代において、
ストレスをまったく感じずに生きてゆくことは不可能です。

ストレスが重症化すると、うつ病になってしまいますが、
明らかな自覚症状のない軽度のうつ病が、EDの原因となることもあります。
何事に対してもいまいち気力がわかない状態では、性行為にも気力がわきません。

糖尿病や心臓病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病、
脳出血、脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病などの疾患、
前立腺がん、膀胱がん、直腸がんなどの摘出手術による血管や神経損傷、
一部の高圧薬やうつ病治療薬などの副作用、
交通事故などによる脊髄損傷などがEDの原因となります。

また、排卵日ED(または不妊ED)というものがあります。
排卵日だから頑張らなければというプレッシャーなどからEDとなり、
ED原因の50%以上を占めると言われています。

EDの治療は、上記の原因となるものを特定してそれを解消することから始めます。

心理的な問題の場合、その心理的にストレスを感じるものの除去や環境整備、
そしてカウンセリングなどをおこないます。

また高血圧などの循環器の病気や糖尿病のような疾患の場合は、
まず基礎疾患を良くする事が大切です。
規則正しい生活と適度な運動、身体にいい食事などに心がけるようにします。

上記の原因を解消してもEDの改善されない場合は、薬物療法をします。
バイアグラ、レビトラなどのED治療薬を服用します。
性行為の30分~1時間前に服用します。

それでもダメなら、人工授精などの方法もありますので、
あまり深刻になりすぎないようにしてください。
ますますストレスがたまり、悪循環に陥ってしまいます。

男性不妊の原因5位 その他

その他、原因不明など

男性不妊の原因としてもっとも多いものは、精子に問題がある場合ですが、
その原因について、はっきりとした診断がつくとは限りません。

はっきりした診断がつかず、原因不明の特発性造精機能障害が
6割を占めるといわれています。

また、精子の問題は多岐にわたり、そして複雑なものです。

脊髄損傷などの身体的な障害、糖尿病や腎不全などの内科的疾患、
精巣ガンなどでの抗がん剤治療や放射線療法などの過去の病歴や染色体異常が
男性不妊を引き起こしていることもあります。

治療が難しく、実子を諦めざるを得ないケースもあると思います。
夫婦ふたりの生活、非配偶者間人工授精(AID)、養子縁組などの選択もあります。

よくあるケースとしては、女性が長い間治療していても妊娠に至らないため、
男性の検査をしたら、男性側に原因があったというケースです。

女性の不妊治療は体に負担のかかるものですから、
もし不妊治療に踏み切るときは、一緒に取り組んでいただきたいと思います。
それが夫婦の絆を深めることにもつながるでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする