女性に多く見られるがんの一つである「子宮頸がん」は、主にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することによって発症します。
ヒトパピローマウイルスは性行為によって感染する場合がほとんどで、コンドームによる避妊をしていない場合や複数の人と性的関係を持つことが原因となってウイルスの感染率が高くなっていると言われています。
しかし、ウイルスに感染した人すべてに子宮頸がんの症状が現れるというわけではなく、ウイルスが自然消滅してしまう場合もありますし、症状ががん化せずに正常の状態に戻っていく場合もあります。なので、もしヒトパピローマウイルスに感染した段階であればがん化すると決まったわけではないということです。
これは妊娠初期段階に感染が見つかった場合も同様です。子宮頸がんは妊娠の検査を受けたことによって見つかることも非常に多く見られていますが、多くの場合は子宮頸がんではなく、がんの状態と正常の状態の境界線である「異形成」と呼ばれる状態になります。
異形成の状態は自然消滅して正常状態に戻っていく可能性が高く、子宮頸がんを発症しない場合はほとんどと言われています。なので、妊娠していても正常な状態に戻ってしまえば出産にも問題はありません。
ただし、これががん化して子宮頸がんと診断された場合は状況が変わってきます。がん化していた場合は手術による治療を受ける必要があります。
手術は子宮頸がんの初期段階の治療法として用いられる「円錐切除術」と呼ばれる手術方法になりますが、妊娠中に円錐切除術を受けると産道の一部となる子宮頸管が短くなってしまうため、通常の状態に比べて早産や流産の恐れが高くなることがあります。
早産や流産を避けるために「子宮頸管縫縮術」によって子宮頸管を輪状に締めておく手術を行う場合もありますが、子宮頸管縫縮術を受けるとまた別のリスクが高まります。
妊娠十ヶ月になって手術を受けた際の糸を抜いたとしても、縫われていた部分が硬くなってしまっていることから、分娩の際に子宮頸管が避けるなどの問題が起きることがあります。
また、胎児の頭が下がりにくくなる恐れも高まるため、出産の際には子宮頸管の開き具合や胎児の頭がどの程度下降してきているかよく見ておかなければなりません。
子宮頸がんを発症していない初期段階であれば手術の必要はないのですが、このような手術を受けなければならない状態になってしまっていると、出産時のリスクが大きくなってしまいますので、妊娠の有無に関わらず定期的に子宮頸がんの検査を受けることをおすすめします。
子宮頸がんは20代後半から40歳前後の女性に多く見られていると言われていますが、女性の皆さんは20歳を過ぎた頃からは最低1年に1回は子宮頸がんの検査を受けるようにしましょう。
子宮頸がんは予防することができますので、安心して妊娠・出産をするためにも検査を受けてくださいね。