腟から子宮頸部にあたる子宮外口にできる「子宮頸がん」。女性特有のがんとしては、子宮体がんと並んで多く見られる症状になります。
子宮頸がんが発症する原因は、喫煙やピルの服用などもありますが、特に多く見られている原因に「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染によるものが考えられています。
ヒトパピローマウイルスの感染経路は主にセックスによるものとされ、複数の人と性的な関係を持つことやセックスの際に避妊をしないことが原因となり、ウイルスに感染する確率が高まるとされます。
しかし、ヒトパピローマウイルスに感染した全ての人が子宮頸がんを発症するわけではなく、体質や遺伝によってはウイルスが自然消滅し、子宮頸がんを発症しない場合もあります。
また、婦人科では子宮頸がんの検査も行われていますし、最近では子宮頸がんの予防ワクチンも接種できるようになりました。
こうして子宮頸がんを予防する様々な方法がありますが、もし子宮頸がんを発症してしまった場合はどのような治療が行われるのでしょうか。ここからは子宮頸がんの治療方法、主に手術を中心に見ていくことにしましょう。
子宮頸がんの治療で行われる手術は、症状の進行度合いによって手術方法が異なることが特徴です。まず初期段階の場合は「円錐切除術」によって治療していきます。
円錐切除術は、子宮頸部をレーザーや電気メスによって円錐状に切り取る手術方法になります。子宮を摘出しないため、手術後も妊娠・出産が可能となりますが、頸部の切除により子宮口が開くので、流産の危険性が少し高まることに注意が必要となります。
次に「単純子宮全摘出手術」について見ていきますが、子宮頸がんは症状の進行度合いによってステージが分類されています。
単純子宮全摘出手術はステージⅠのⅠa期にあたる症状の治療に用いられる手術方法です。がんが上皮を超えてしまっている場合は、このように子宮の全摘出が必要となります。
手術方法には開腹式と腟式がありますが、腟式は傷跡が小さく済むことが特徴です。また、閉経後に手術を受ける場合は子宮の他に卵巣も摘出されることもあります。
そしてⅠb期、Ⅱ期では「準広汎子宮全摘出手術」によって治療が行われます。また、症状の進行度合いによってはⅠa期でも用いられる場合もあります。
準広汎子宮全摘出手術は子宮だけではなく卵巣、卵菅、子宮を支えている靭帯、腟の一部まで摘出することになります。その他Ⅰb期やⅡ期では「骨盤リンパ節郭清術」によってリンパ節を切除する手術も行われます。
子宮頸がんはさらにⅢ期とⅣ期のステージがありますが、この場合はがんの症状が進行してしまっているため、手術による治療は行えません。
子宮頸がんは早期発見することで治療できる病気ですので、体調に少しでも変化が見られた場合はすぐに婦人科で子宮頸がんの検査を受けることをおすすめします。